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自宅出産

自宅出産について

最近、熊毛地区内において自宅出産をしている、また希望する方がおられるという話を耳にすることがしばしばあります。
種子島産婦人科医院としては、自宅出産を推奨できないということを、以下をもって明示させていただきます。
 
種子島で自宅出産を希望されている方へ
《はじめに》
出産というものは人生の感動の1ページになることは言うまでもないと思います。10か月もの間楽しみにしていたわが子を最愛の家族とともに最高の環境の中で出産できること、それはこの上ない幸せのひと時だと思います。
我々産婦人科のスタッフもその感動のひと時のお手伝いができるよう妊婦健診や分娩そして産後のケアなど、少しでも妊婦さんのサポートができるよう励んでいる次第です。
もちろん可能であれば、自宅で家族と一緒に出産に臨むということができたら一番いい環境だと思います。昔の日本のように陣痛が来たら自宅にて産婆さんが出産のお手伝いをしてくれる、そういった環境であれば家族とともに安心して出産に臨むこともできるでしょう。
 
《自宅出産のリスク》
 ただ安全という側面からすると自宅出産は大きな危険をはらんでいると思います。
破水直後や子宮口全開大後は赤ちゃんの状態が不安定になりやすくなり、場合によっては緊急帝王切開をしないと赤ちゃんに重い後遺症が残ってしまう可能性も出てきます。病院であれば胎児心拍数を機械によって測定し赤ちゃんが元気かどうかを確認することができますが、自宅出産の場合胎児心拍を測らないケースも多く、その場合赤ちゃんが苦しんでいても気づかずに時間が経ってしまうこともあります。 
また赤ちゃんは無事生まれたものの、赤ちゃんの呼吸状態が安定しないことも多々あります。病院ではそういった場合酸素のモニターを付けて必要があれば呼吸のお手伝いをすることで呼吸状態が改善させることができますが、自宅での出産だと赤ちゃんへの対応が遅れてしまうことがあるかもしれません。
また産後にお母さんの出血が多くなることはしばしばありますが、自宅での出産は出血量の測定がうまくできない可能性もあり、病院で出産したなら出血量が把握できているので輸血まではしなくても済む場合でも自宅出産なら出血量が把握できないため輸血せざるを得ないというような状況も十分に考えられます。
 お母さんと赤ちゃんに何かあった場合に自宅出産ではどうしても対応が遅れてしまい、そのせいで深刻な事態が起こりやすくなってしまうということを強く認識していてください。
 
《産婦人科医師としての思い》
 私のスタンスとしては、後遺症なく母子ともに元気に退院できるということをなにより重視して診療に臨んでいます。赤ちゃんの状態が不安定になれば躊躇せず帝王切開を行います。経膣分娩時に傷が大きくなってしまい肛門に傷が及ばないように必要な会陰切開は迷わず行っていますし、産後出血が多くなった場合は迷わず輸血をします。最近は種子島の小児科の先生方がとても協力的であり、赤ちゃんの状態が不安定な時はちょっとしたことでも小児科の先生に相談するようにしています。 
先を見越して行動しなければ重大な後遺症を残してしまったり、最悪死に直結したりすることもあります。出産というものはほぼほぼ何事もなく無事にいくことがほとんどです。しかし、ごくまれに大変なケースもあることを身に染みて知っているからです。
 
《種子島の現状と当院の方針》
 本土であればマンパワーがあるため、自宅出産に提携できる助産師や産院、産婦人科医院もあるでしょうが、種子島には産院はなく産婦人科医院は当院のみです。本土と同じような生活水準、医療水準が実現できれば一番いいのでしょうが、ここは離島でありできることもあればできないこともあります。
現時点では自宅出産はリスクが大きいため推奨できないことをあらかじめ認識していただきたいと思います。
安全・安心なお産、楽しい育児をめざして
―自宅分娩(無介助分娩)を考えている妊婦さんへー
 
  • 助産師はお母さんに寄り添い、安心、安全なお産ができるようにお手伝いします。そして、お母さんが満足できるお産をめざします。
 
  • 助産師は元気な赤ちゃんが産まれてくるまで、一生懸命お手伝いします。産声を聴くまで、一瞬たりとも気が抜けません。
 
  • 助産師は妊娠中のお母さんの不安を取り除けるよう、心の支えとなれるようお手伝いします。とくに、はじめてのお産は不安やわからないことだらけなのは当たり前です。どのようなことでもお話ください。
 
  • 助産師はお母さんに応じた産後のケア、育児のお手伝いをします。誰しも、完璧な育児はありません。だからこそ、助産師に聞いてください。頼っても大丈夫なのです。「これならがんばれそう!」そう思って楽しく育児ができるよう支援します。
 
  • 助産師は退院してもお母さんと赤ちゃんをお手伝いする存在でありたいと思います。
 
私たち、種子島産婦人科医院の助産師は、島内そして里帰りされたお母さんが無事にお産をし、元気に赤ちゃんが育ってくれることを第一に働いています。
もちろん、助産師はお母さんやその家族の意思や思いを尊重しています。実際、「自分の思ったとおりのお産にしたい」、「医療行為をなるべくしたくない」といったお声もあることも事実です。その際は、じっくりお母さんやその家族の方とお話をし、医師とも連携をはかりながら当院でできる限りの支援をしています。
種子島にはまだ、医療行為はせず、お母さんの力だけでお産をする院内助産や助産所、また、自宅に助産師が出向きお産をお手伝いする自宅分娩はできないのが現状です。それにはいくつかのハードルがあり、前田医師が記載した内容がそのすべてであると考えます。
 私たち種子島で働く助産師は、まずはお母さんと赤ちゃん、そしてその家族の笑顔を守りたいだけなのです。そのために、助産師として、一生懸命お手伝いしたいと思っております。ぜひ、皆様が安心・安全に十分配慮したお産ができる環境を選択していただけることを願っております。
 
 
 
種子島産婦人科医院 助産師一同
種子島産婦人科医院
〒891-3101
鹿児島県西之表市西之表16314番地7
TEL.0997-22-0260
FAX.0997-23-2281
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